背中

「…ご……」
 悟浄、と続くはずだった言葉を。
 とっさに、呑み込んで。
 その。
 背中を、息もつかずに見つめた。

 きっと。
 今、彼は。
 遠い目をしている。

 自分に向けられる、優しい笑顔も。
 子供のような、瞳も。
 とても、愛しく、大切だと思うけれど。

 彼の。
 誰も見ていない時の、遠いまなざしと。
 この、静かな背中が好きだ、と言ったら。
 彼は、どんな顔をするだろう?
 ──自分を見てない時の彼が、何より好きだ、と言ったら。

 
 鮮やかな紅の髪が、背中で踊るように揺れる。
 
 人一人分の生を。
 今は。
 淡々と背負っている、背中。

 この、背中を。
 抱きしめたい、と思うのは違う。

 この、背中に。
 抱きとめられたい、と思うのは違う。

 
 
 ただ。
 無性に。 
 此処に居合わせたことに、感動したくなるだけだ。

 たとえば。
 落日の空を染める気の遠くなるような茜の色に、言葉を失うように。
 
 彼に。
 言葉を、失う。

「……っかい?」
 彼が。
 振り返る。
 
 こっちを見て、笑う。
 招くように、手を、差し伸べる。

「悟浄」
 そして。
 八戒も、その、名前を呼ぶ───。

 


  

'02.11.08 a.m.01:48   

  
Happy Birthday to 悟浄   

 

 

  

  

 

 

 

 

 

 

  

  ということで。 

 突発・悟浄BDでした。
  
 7日の夜になって、(正確にはお風呂の中で、へろ〜とぼんやりしてて)突然思いついて、
 やりたくなった悟浄BD。

 コンセプトは、『「お誕生日おめでとう悟浄v」以外、の何か』

 いや、昨年、ゆっこさんが、そういうんじゃないのが見たい、と言ってらしたのを思い出しまして。

 「お誕生日おめでとう悟浄v」なものは、きっと世の中にたくさんあるだろうから、
 単に九城が書きうる限り、一番かっこいい悟浄、を目指してみました。
 
 とはいえ、とっさにかっこいい悟浄が浮かばなかった(苦笑)九城は、
 大好きな某絵描きさんの悟浄をかたっぱしからPCのディスプレイに広げて、
 よしこれだっ!と確認する始末。
 
 
 珍しく真面目に(?)58を書いたなぁ。



 
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