・千跡 02・

 

 

 「うん、この試合は見ものだよ」
 
  見たいのは。
  見ないでなんていられないのは。
  きっと。
  自分だけじゃない。
 
 「……さあて、どっちが強いのかな」
 他人に本心を読ませない千石スマイルを保ったまま、呟く。

 去年。
 千石は、手塚に負けている。
 跡部の強さは、Jr.選抜の強化合宿で、体験済み。

 どっちも、自分より強い。 
 それは、分かっている。  
 でも、どっちが強いか、読みきれるほど。
 二人とも、自分相手に、本気の全力を見せてはくれてない。 
 それも、分かってる。
 だから。
 どっちが強いのか、なんて。
 分からない。

 
 「千石さん、さすが手塚ですね。ただ左右に打ち分けているだけじゃない。すべてコーナーギリギリ、 
 外に逃げてく打球です」
  それまで黙って見ていた室町が、思わずと言ったようにそう声を上げる。
 「うん!」
  それに、力強く同意をして。
 「でもその揺さ振りをものともせず打ち込める、氷帝の跡部くんも凄いと思うよ」
  もっと、力強く。
  千石は、そう言い切れば。
 
 「千石さん、嬉しそうですね」 
  そう。
  見破られた。

 「そう?」
  さらり。
  室町の言葉を受け流す。
  もちろん。 
  嬉しいけど。
 (だって。あの、跡部が。
  めちゃくちゃ楽しそうに、試合しているのだから) 
 
  残念ながら、嬉しいだけ、なんかじゃない。
  何で。
  今、そこで君と対峙しているのは、俺じゃないんだろう? 

 「嬉しそうってより、のろけだろうが」
  今度のつっこみは、南から。
 「う」
  そ、それは。
  認めざるをえない、かも。
  悔しいけど。
 
 
  だって。
  俺の好きになった人は。
  俺の、好きな人は。
 
  こんなにも、凄い人なんだよ、って。
  こんなにも、かっこいい人なんだよ、って。
 
  声を大にして。
  言いたいよね。
 
  言って。
  いいよね?



 

  ひさびさの、せんべ。   最近ひそかに(?)、せんべブームです。 せんべ好きーっと言いたくて、 でもそう宣言するには、気が付いたらテキスト一覧には せんべ一つしかなくて(あと一つは、バレンタイン) ああこれじゃ足りない、と思って。  急遽、メモ書きをアップ。    せんべの基本は、この千石の台詞だと思う。            contents