・千跡 8・



 

  何故、彼だったのか、なんて。
 
 
  そんなことは、跡部自身が、一番知りたかった。
 
  小柄な身体を存分に使う、とても伸びやかなその動きは、好感が持てた。
  補欠補欠と言われ続ける中で、無理でも強がりでもなく崩れなかった余裕の笑顔は、
 その精神の強靱さを伺わせるのに十分だった。
  
 

  けれど。
  たぶんそんなのは全部きっと後から理由づけられた彼の長所だ。
 
  彼、でなくてはならないことに。
  理由なんて、なかった。
 
 
 
  ただ。
  見ろ、と。
  思った。

  その目で俺を見ろ。
  追ってこい。
  
  ここまで、来い、と。



  その、想いの意味を。
  他ならぬ彼自身に教えられるたは、ずっと後のことだった。
 
      

サイトでは、ひさびさのせんべです。 でもって、ひさびさに長編のための習作です。 総タイトルはたぶん 〈Capsule Heaven〉 夏に出したコピー本と一緒です。 あのお話と同一軸で、もう少ししっかりまとまって 形になったお話ができないかなぁ、と企み中です。 しばらくはこまめに落書きをあげていきたいと思ってます。 contents