静誕


3 友人 





 夜。
 お腹いっぱいケーキを食べて、アパートに戻るところでセルティに会った。
『誕生日なんだろう』
 滑らかにPDAに打ち込まれる文字列。
「ああ。よく知ってたな」
『新羅が』
「へぇ、あいつが?」
 静雄は、少しだけ旧友を見直す気になった。
 誕生日を覚えていてくれるなど、いいところがあるではないか。
『私からのプレゼントだ』
「俺にか?ありがとよ、セルティ」
 渡されたのは、家電量販店のギフト包装だった。
『一緒に狩りに行こう!』
 セルティに顔はないけれど、たぶん、きっと期待にきらきらと顔を輝かせているのだろうなぁと静雄でさえ思った。
「?ああ…?」
 よく分からないまま、静雄は頷いた。


 あいにく静雄のポータブルゲーム機は、使って3分後に壊されたきりだとセルティが知るのは、翌日のことだ。