あの日の恋 / 二度目の恋







「……覚悟というのは、粟楠会の幹部としてではなく、あの少女の保護者として動くということですか?」
「おや、旦那」
 不意に横からかけられた声に、動揺したりはしなかった。
 そこにいる。
 そんな気がずっとしてた。

「いーや、ちょっと違うね」
 ああ、もちろん、杏里ちゃんがあんな目をしてる以上、ちょっとは考えさせて貰うけどね。
「昔の恋がね、ちゃあんと墓ん中入ってたってことを、杏里ちゃんが教えてくれましたよ」
「?」
 
 園原沙也香の死を、知りながら。
 心のどこかで、罪歌がこの世に存在し続けていることを知っていた。
 知っていて、どこかで期待していた。
 あの日の恋を、本当に失ってはいないことを。

「……待たせちまったねぇ、旦那」
「何のことですか」
 無表情を崩さぬ四木に、くくっと笑う。

 あの日の恋は、もうとっくに、完全に終わっていたのだ。


 ならば。
 今、この胸にある、この熱を。


 二度目の恋と、認めないわけにはいかないではないか。









やっと赤四木になった!


赤四木ずっと書きたかったのですが
考えているとなかなかそこに辿りつかず(泣)
色々経てきた男二人、というのは大変萌えるのですが
自分で書くのは難しい……