健康第一

*ピンポイントな9巻ネタばれを含みます


















 臨也のマンションのバスルームは、適度に広い。
 そう、男二人で入ることが不可能ではないけれど、一緒に浴槽に浸かろうとすれば、密着しなければいけない程度に。
 普段はシャワーだけで済ませることの多い臨也だったが、これも日頃は狭いシャワーで済ませる静雄がここぞとばかりにのんびりしたがるので、やむなく一緒に入ることが多い。
 のんびりしたいなら一人で勝手に入ってれば、と臨也は何度か突っぱねたが、それじゃ意味がないだろう、と一蹴されて、担ぎ込まれることを繰り返して以来、無駄な抵抗をやめた。

 ひとしきり浴室の中で後戯を楽しんで、のぼせる寸前でランドリーに戻る。
 通常売られているより大きめのサイズが気に入っているバスタオルでざっと水分を拭ったら、習慣で隅の体重計に乗る。内臓脂肪まで計れる高機能のものだ。
「てめぇ、何やってんだ?」
 後ろで静雄が呆れた声を出す。
「何って体重。シズちゃんも計る?5人まで登録可能だから」
「いらねぇ。……毎日、計ってんのか?」
 信じられねぇ、と言葉にはしないものの声が言っている。
「ああ。俺、これでも健康に気を使っているからね。シズちゃんもそろそろ気を使ったら?毎日ファーストフードなんてメタボ一直線じゃん」
「うるせぇ。てかうぜぇ。てめぇどこの女子だ」
「シズちゃん、それ男女差別」
「知るか。てめぇの場合は痩せすぎだ。ファーストフードだろうが食ってねぇてめぇよりはましだよ」
「食べてるよ」
「じゃあなんでこの前より軽くなってんだ?」
「……」
 静雄の問いかけに、臨也は一瞬沈黙する。
 確かに、体重計の針は、ここ二日間ほどいつもより2つ下の数字を示している、けれど。
「なんで、分かるの?」
「分かるだろ、それくらい」
「……それさ、減ったならともかく、女の子相手に重くなったとか言っちゃダメだよ?」
 言いながら、静雄が女の子の体重が分かるようなシチュエーションを想像し、臨也は自分の考えに自分不快になった。自然、声も尖る。
「んなことしねぇ………」
 しない、と言いかけた静雄の言葉が途切れる。
「シズちゃん?」
「……茜が怒ったのも、それか?」
「茜って、粟楠茜ちゃん?」
「ああ」
 先日、臨也の妹である折原舞流、九瑠璃姉妹と一緒にいるところで出会った茜は、道場の先輩である舞流を見習ってか、勢いよく静雄の背中に飛び乗ってきた。
 おう、大きくなったか?と静雄は茜の成長を褒めたつもりだったのだが、少女は真っ赤になってお兄ちゃんなんて知らない!とぼかぼか背中を殴りつけてきたものだった。
 くしゅん、と小さなくしゃみの音が静雄の回想を遮る。
「風邪引くぞ」
 まだタオルをかけただけの姿だったことを思い出し、自分はともかく、と臨也にTシャツを放り投げた。

 














シャワー後毎日体重計乗っちゃういざやさんが可愛くて可愛くて
どうしたらいいか分からなくなったでとりあえず妄想を出力

湯上りじゃなくてシャワーの後って言い方するなら
普段はシャワー派で湯船は使わないんだね
シズちゃんと一緒の時だけ使うといいよ!