怖いんだろう



「怖いんだろう?」
 折原臨也が嗤う。
 嗤って、呪文を呟く。
「その手で触れることが?大事な人を壊してしまうことが?」
 当たり前だよね。
 君に抱きしめられたら人間の骨なんて砂糖菓子より脆く砕けてしまうんじゃないかな。
「うるせえ。黙れ」
 静雄の手元で、めきめきと音を立てて交通標識が折れる。
 そんなこと。
 てめぇに言われなくても分かっている。
 心の中で、叫ぶ。
 この手は、壊すことしか、できない。
「偽善者だねぇ、シズちゃんは」
「何だと?」
「自動販売機他人に投げつけといて?その道路標識振り回しておいて?抱き壊してしまうのが怖い?馬鹿みたい」
 嗤って。
 真実を、静雄に教える。
「……ああ、そうか。そういうことか」
 だから、静雄も、嗤った。
 自動販売機投げつけても。
 ガードレール振り回しても。
 殺しても、殺せないのなら。
「壊れねぇ、よな?」



 だから。
 お前なら。

 抱いても、いいよな?




DRRR初書きでした
続けて書くかどうかまったく分からなかったので
novelistさんに投稿という形で発表したもの