相似



 もう長い間、そこには確執だけがあった。
 
 
 
 あの日。
 自分の前で、自ら刃に身を晒してみせた新羅を、羨ましい、と感じた。
 違う次元から人間を見ているかのような、新羅。
 どれほど人間全てが好きだと公言したところで、お前など所詮その人間全てと同じ地平に立つ、69億分の1にすぎないのだと。

 来神高校に入学したその最初の日。
 臨也の前に現れたのは、まさにその人類とは違う地平に立つ存在だった。
 圧倒的な力。――圧倒的な暴力。圧倒的な生命力。
 その瞬間、臨也を動かしたのは、羨望を突き抜けた憎悪だった。

 何故、君が。
 君のような、存在が。

 俺の前に、現れた?




 新羅の目に映るたった一人が、本当に人間でなかったことを知ったのは、ずっと後だった。
 首なしの妖精デュラハンを愛する新羅は、本当に別の次元からこの世界を見ていたのだと思った。
 
 それは、ほんの少しの掛け違い。
 鏡像というには、歪で。
 けれど、本当はとてもよく似た相似形で。

 新羅は、デュラハンという妖精を愛し。
 臨也は、平和島静雄という化物を憎んだのだ。



 





原作9巻の新羅と臨也の話は、色々妄想が膨らみます


そんな臨也さんを妄想しつつ、習作。