作り物めいた本物の




 大きなデコレーションケーキには、真っ白なクリームと真っ赤な苺。
 長いろうそくが1本。短いろうそくが6本。
 プレートには、いざやくん、おたんじょうびおめでとうと平仮名で書いてある。
「「おたんじょうび、おめでとう!!」」
 声をそろえる、そっくりの双子。
 ケーキも、かなのプレートも。
 これは臨也のためではなく、まだ幼い妹達のためのイベントだ。誰かの誕生日を祝うという口実で、他人が楽しむことを覚えるための。
 だから、臨也も笑う。
 作りものの、とびきりの笑顔で。
「ありがとう、嬉しいよ」
 と。


 世界は綺麗な欺瞞に満ちている。
 作りものみたいな白いクリームと、自然をねじまげたみたいな苺の赤と。

「……」
 ふと先日入学したばかりの来神高校で見つけた彼のことを思い出す。
 偽物の、脱色した金髪の目立つ、そのくせ臨也の欺瞞すべてを本能で見抜いて、気に入らないと言ってきた男。
「ねぇ、シズちゃん」
 君は、今日のこの日に。
 俺にどんな言葉をくれるんだろう? 


 





5/4のスパコミで配布した、臨誕配布ペーパーのSS

全然祝われている感じがしないのが臨也さん仕様です