弱く儚く 西口公園で、何かの祭をやっていた。 何の祭かは知らないが、たぶん静雄達同様に何の祭かは分からないけれど人が集まっていてなにかやっているらしいから覗いてみようという人間達が集まるのだろう、公園の中は大層な人混みだった。 ずらり、というほどの量はないが、そこそこに並んだ屋台の一つで、ひよこ釣りをやっていた。 ぴぃぴぃと鳴く小さなひよこ達が、小さな小学生ぐらいの子供達の手におさまっていく。 「怖くないんすかね」 「ん?」 ふと零れたような呟きにトムは顔だけ傾けて、この人混みの中でも頭一つ高い後輩を見上げた。 「あんな小っせぇの、そこのガキでも簡単に握り潰せそうなのに」 「………」 青いサングラスに遮られて、静雄の表情は見え難い。 見え難いが、読めないというわけでもない。 「怖くはなかったけど悲しかったな」 「へ?」 「ああいう屋台のひよこって簡単に死んじまうんだ」 早いものでは、ほんの二、三日で。 誰も、何も手を下さなくたって儚く消える、命。 「そういうもんだって分かってても可愛いんだよな」 脆く。儚く。 いずれ失うと分かっていても、手を伸ばさずにはいられない、愛しい者。 「トムさん?」 「ガキの頃の思い出だよ」 儚く。弱く。 それゆえ、愛しく。 だから、お前も。 その手を。 伸ばせば、いいのだ。 ただ、愛おしむ、そのために。 |
DRRR2作目 トム静のような でもカプのない、先輩と後輩の方が しっくりくるような そんな感じで |