不覚 折原臨也という男に対する評価あるいは感想というのは、たぶん大きく二極に分かれるのではないだろうか、と赤林は思う。 心酔し、救世主のように慕う者と。 無条件にむかつき、苛立ち、叩き潰したいと感じる者と。 「昔の俺だったら、理由もなく叩き殺すようなタイプだ」 赤林は、間違いなく後者だ。 そして特にそれを隠そうとも思わなかったので、それほど深い意図ではなく、そう口にしてみた。 「脅かしっこなしですよ」 そう言いつつ臨也の表情は特に変わらない。 それを冗談と受け流したわけでもなく。 それが赤林のてらいのない本心だと知っていて、特に怯える必要もないと分かっているからこその態度だ。 本当に厄介な兄さんだねぇ、と赤林は内心苦笑する。 「若いバーテン服の兄ちゃんがあんたを叩き殺そうとしてるみたいだからねぇ」 叩き殺したい、という赤林の想いは、もうずっと前から、池袋では大音量で代弁され続けている。 ノミ蟲、と彼を呼ぶ、池袋最凶に。 一瞬、臨也の顔から笑顔の消えたことを、赤林は見逃したりはしなかった。 おやまぁ、と。 その瞬間の心情に近いものを探すなら、感嘆、かも知れなかった。 折原臨也の、掴みどころのない作り物の笑顔を、一瞬で切り崩せる存在。 その、執着を。 その、特別視を。 その、衝動を。 何というのか、赤林は、たぶん知っていると思った。 「まいったねぇ」 綺麗な琥珀色の梅酒を、また一口、口に含んで。 その、甘酸っぱさを、堪能して。 まいった、と。 小さく息を吐く。 いっそ苦々しいなら、話は早いものを。 この、後味の甘酸っぱさときたら。 叩き潰したい。 それは、確かに本心であったけれど。 新宿の情報屋に、あんな顔をされたら。 うっかり応援通り越して、無理矢理にでもくっつけてやりたくなってしまうではないか。 |
10巻感想と妄想、その2です 赤林さんと臨也さんの会話に萌えました、てか悶えました 臨也さんは、シズちゃんラブをだだ洩れににし過ぎだと思います なんかもう皆にばれまくってるじゃないですか 無理矢理奪ってしまう赤臨も捨てがたいですが うっかり応援してしまって、お節介やいて迷惑がられる赤林さんが見たいです |