見つけられますように



 壊してしまうから、触れられないもの。
 壊してしまうことはないけれど、触れられないもの。
 壊してしまうかもしれないけれど、触れたいもの。触れられるもの。


 静雄は、強い。文句なく。
 だが、あいつは自分の強さを嫌悪している。
 その力をコントロールできない自分と力そのものを混同して、全否定だ。

 俺には壊すことしかできねぇよ。
 そう、自嘲する。
 彼は弟にも上司にも友人にも恵まれているけれど彼の本質は孤独だ。

 彼の天敵である情報屋は人ラブと声高に叫びながら、誰にも心を許さない。
 静雄は傷つけ傷つくことが怖くて、誰にも関われない。
 形の違う、孤独。

 私なら静雄でも壊せない。ふとそう思った。
 けれど。

 静雄が自動販売機を投げつけても、交通標識で殴りかかっても、自分は壊れないし、彼を受け止められるけれど、静雄を抱きしめたり、静雄に抱きしめられることはきっとできない。
 それは、新羅にしか、できないことだ。

 だから。

 彼、だけの。
 壊してしまうかもしれないけれど、壊さずに抱きしめられるものを。
 彼が見つけられるといい。
 そう、願った。







セルティと静雄
この二人の仲良しっぷりが大好きです