「大佐」
おやつにしましょうか、とハボックが声をかける。
「おお、そうだな」
途端にぴん、と立つ耳と尻尾があまりに素直で、
微笑ましいやら。
呆れていいやら。
獣医(!)と相談の上で、原料を厳選した
ホークアイの手作りクッキーは、
決して甘くないけれど、とても香ばしくておいしい。
「食べ終わったら、さっさと残り片付けちゃって下さいね
でないと、中尉、もうおやつ焼いてくれなくなりますよ」
「……む」
我ながらどういう脅しだ、と思わんでもないが。
眉にきゅ、と皺を寄せて。
けれど、今度こそ、真面目に、
いやむしろ締め切りぎりぎりでもないというのに猛然と。
ロイは書類を片付け始めた。
|