「……はいはい、大佐。
イイ子だから、あとちょっと頑張りましょうね」
ぽふぽふ、と。
形のよい後頭部から、三角猫を撫でれば、
ぎっと睨みつけられた。
「……ハボック、貴様何のつもりだ?」
「え?……いや何となく」
「ほお、何となく、で貴様は上官の頭を撫でるのかね」
「いや、あまり……」
その上官の頭に、猫耳がついてなければ。
たぶん、撫でたりしません、と。
呟いた言葉は、しっかりきっちり上官の耳に届いて。
後には、綺麗に前髪全部焦がされたハボックと。
そうして、機嫌は損ねたが、退屈の虫は収まったらしいロイが、
勢いよく溜まった書類を片付けていく、小気味よいペンの音。
(……ご苦労さん)
何事もなかったように、各自の仕事を進めながら。
司令室の面々は、心の中だけでハボックの労をねぎらった。
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