・外に出す・



「……あ」

胸ポケットを探れば、宙をかく指先。
そういえば、さっき最後の一本を吸ったところだった、と
今さらながらに思い出す。

「あー、すんません、ちょっと……」
買ってきます、と立ち上がれば。

「ほお、煙草かね」
では、私が買ってきてあげよう。

予想外のところから。
声がかかった。

「へ?」
「何、遠慮することはない。
たまには部下を労わるのも上司の仕事だ。
そうだろう?」
にこにこと胡散臭い笑みを浮かべながら、もう立ち上がってる人。

「あ、いえそれぐらい自分が……」
しまった、と思う間もなく。

扉を開けた瞬間、逃げ出していく猫さながらに、
ロイは、いなくなっていった。



「あーあ、逃がしちまった……」
これも相当にとんでもない台詞を、さらりとブレダが吐く。

まずい。

戻ってきたホークアイに、真っ先に怒られるのは
たぶんハボックだ。

「捕獲、してきます」
探索を命じられるよりも、先に。


ロイの後を追って、ハボックも司令室を飛び出した。






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