「……はいはい、大佐。
イイ子だから、あとちょっと頑張りましょうね」
ぽふぽふ、と。
形のよい後頭部から、三角猫を撫でれば。
自分が来ていることに
ほとんど注意を払っていなかったのだろう。
びく、っと派手に驚いて、ロイは振り返った。
「……ハボック、貴様何のつもりだ?」
「え?……いや何となく」
「ほお、何となく、で貴様は上官の頭を撫でるのかね」
「いや、あまり……」
その、上官の頭に猫耳がついてなければ。
たぶん、撫でたりしません、と。
呟いた言葉は、しっかりきっちり上官の耳に届いて。
綺麗に前髪全部焦がされたハボックに
背を向けて。
また、ロイは窓の外へと顔を向けた。
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