「……水」
腕の中の大切な人が
嗄れた声と不機嫌な顔で、要求する。
ちょっぴり無理させた自覚がある身としては、
名残惜しさはいっぱいだけれど
水を汲みに立ち上がる。
けれど。
冷たい水を片手に戻れば。
「…あーのー」
彼は、といえば一人だけきっちりシーツに包まって。
隣にハボックの戻るスペースはなくなっていた。
も、もしかして。
体よく、追い出された?
呆然と見下ろしていれば。
しばらくして、もこもこ、とシーツのかたまりが動いて。
さっきよりもっと不機嫌な顔で。
「…寒い。さっさと戻れ」
と手招いた。
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