・叱る・




「……この、バカ犬っ」

二人で追った熱の余韻で、
まだ赤い目元をして。

そんな風に怒ったって、説得力なんてあるはずないのに。

「……気持よく、ありませんでしたか?」
悄然としたふりを装って。

ここが、とそっと背筋を終点まで撫で下ろして、
囁けば。


「……っ!」

赤みを増した顔を、つい、と背けて。




そんな顔が可愛いから
絶対また後で叱られる、と分かっていて
無茶をしてしまうんです、とは
絶対、白状できない真相だ。





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