「……大佐、ちょっと相談が」
「何だ?」
「未解決テロ事件の記録をあたってたら、ちょっと……」
そういって誘う先は、資料室。
もちろん、そのことで大佐に相談があったのは、本当。
資料室に行かないといけなかったのも、本当。
だけど。
「……、こら、ハボっ…少尉、何を」
ぎゅ、と抱き締めたら、途端に腕の中で暴れる身体。
「大丈夫、ここなら誰も来ないから」
資料室の鍵は、今、自分のポケットの中。
「あんな姿見せられて、平気でいられるはず、ないでしょう?」
何のことだ、と睨みつける黒い瞳に見せつけるように
そっと彼の手をとって、その形のよい指先を咥える。
舌先で爪の形をなぞるように舐めれば、
きゅ、と眉を寄せて。
けれど、その指先を
強引に取り返すこともできずに震える。
宥めるみたいに、何度か背中を撫でれば、
諦めたようにその体から力が抜ける。
撫でられるのが、大好きな猫は
そうして、ゆっくりとハボックにその身を預けた。
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