・外に出す・



「大佐、時間ですよ」
可哀想、ではあるけれど。

「ん?……ああ、お前か」
まだ、少しとろんとした眼をしている。

「残念ながら、時間切れです」
あと5分で、会議が始まりますよ、と机の上の時計をとって
目の前に突きつけてやる。

「……ああ」

ふわぁあ、と大きく背を逸らして伸びをすれば、
つられたようにぴんと尻尾も立つ。

「はい、どーぞ」
ちょこんと頭に帽子を載せる。

この綺麗で可愛い耳を隠すのはとても残念だけれど、
他のヤツらに見られるわけにもいかないのだ。


耳に帽子が当たるのが、不快なのだろう。
一瞬、眉を顰めて。





そうして。
次の瞬間には、もう仔猫、ではなく。

マスタング大佐、の顔をして、
ロイは立ち上がった。






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