・Honey & Cream・

・Honey Pot・


「何か、代わりになるもの、ありませんかね?何か、オイルとか……」
 セントラルの洒落たホテルあたりだと、肌の手入れに余念のないご婦人方のためにローションだのオイルだのがバスルームに完備されていたりもするが、地方の鉱山では望むべくもなく。
「何か、と言っても……」
 あるはずもない、とロイの視線は宙を彷徨い。
 小さく溜め息をつきかけたハボックは、ふと、その「何か」に思い至った。
「ああ、あれなら」
「ハボック?」
「ちょっと待って下さい」
 ハボックは、全裸のまま、部屋の隅に放り出したままのカバンに向かう。
 中から取り出したのは、ごく淡い琥珀色に満たされたガラスの小瓶だった。瓶の中身は、南方のサバンナに育つワイルドフラワーから集められたはちみつだ。
 街の様子を視察するために立ち寄った支部近くのマーケットで売られていたものだ。
「はちみつ…か?」
 瓶の中身を思い出したらしいロイは、少し困惑した表情でベッドの中からハボックを見上げてくる。
「はちみつって、うちの方じゃちょっとした傷に塗ったりするんで。身体に悪いってことはないと思うんスけど」
「ふむ、そういえばはちみつには、確か殺菌効果があったな」
 ロイの興味は、一瞬目の前の情事から、はちみつの薬効の方に逸れかけたけれど。「何か、代わりになるもの、ありませんかね?何か、オイルとか……」
 セントラルの洒落たホテルあたりだと、肌の手入れに余念のないご婦人方のためにローションだのオイルだのがバスルームに完備されていたりもするが、地方の鉱山では望むべくもなく。
「何か、と言っても……」
 あるはずもない、とロイの視線は宙を彷徨い。
 小さく溜め息をつきかけたハボックは、ふと、その「何か」に思い至った。
「ああ、あれなら」
「ハボック?」
「ちょっと待って下さい」
 ハボックは、全裸のまま、部屋の隅に放り出したままのカバンに向かう。
 中から取り出したのは、ごく淡い琥珀色に満たされたガラスの小瓶だった。瓶の中身は、南方のサバンナに育つワイルドフラワーから集められたはちみつだ。
 街の様子を視察するために立ち寄った支部近くのマーケットで売られていたものだ。
「はちみつ…か?」
 瓶の中身を思い出したらしいロイは、少し困惑した表情でベッドの中からハボックを見上げてくる。
「はちみつって、うちの方じゃちょっとした傷に塗ったりするんで。身体に悪いってことはないと思うんスけど」
「ふむ、そういえばはちみつには、確か殺菌効果があったな」
 ロイの興味は、一瞬目の前の情事から、はちみつの薬効の方に逸れかけたけれど。
「……はちみつプレイ、ですね」
 瓶を手に戻ってきたハボックの、淫らな囁きに一瞬呆気にとられ、思わずその青い瞳を睨みつけはするものの、――否、とは言わなかった。



「……はちみつプレイ、ですね」
 瓶を手に戻ってきたハボックの、淫らな囁きに一瞬呆気にとられ、思わずその青い瞳を睨みつけはするものの、――否、とは言わなかった。

 

・cream・


 司令部の廊下を、少しでも人に見つからないように早足で抜けていく。
 運悪くすれ違ってしまった女性職員に、くすっと笑われたのも分かっているけれど、かまってなんていられない。
 階段を一つとばしで駆け上って、辿り着いた司令室のドアをばたんと開ける。片手が塞がっているので、いささか乱暴になってしまったのは致し方ない。
「ハボック少尉、戻りましたっ!」
「少尉、ドアの開閉は……」
 静かに、と注意をしかけたホークアイの語尾が、彼女にしては珍しく立ち消える。
「ハボッ………ク?」
 その珍しいホークアイの反応の理由を求めて、書類の山の向こうでようやく顔をあげたロイの目の前に、既にそれは突き付けられていた。


  - - - 


「舐めて」
 硬い指が、幾度となく繰り返すくちづけに紅く色付いた唇をつぅと辿る。
 耳朶に囁かれる台詞は、年下の恋人の甘いおねだりという、非合理的な魔法の呪文だ。



こんな感じで、えろをメインに(^^;;
夏らしく、頭の溶けた感じのゆるい本です。


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