・A Window to the World・




『よぉ、元気か』
 実家に戻ってしばらくして、西部から電話があった。
 電話越しに届くのは、懐かしい、と言ってしまうのにはまだ早すぎる、腐れ縁の友人の声だった。
「お前こそ」
 どうしてる、と訊かれたので、頭使ってる、と応えたら爆笑された。
「悪かったな。どうせ俺は肉体労働専門だったよ」
 頭脳労働は、自分以外の皆に任せておけばいい。
 そう思って。
 それに甘んじて。 
「なんていうかさ。俺本当に栄養全部筋肉に使ってたんだなぁ、って思って」
 しみじみ言ったら、さらに爆笑された。
 このヤロウ、切るぞ。
 軽く罵り一つ。
 士官学校時代、あれほど分からずに苦戦したことも、基礎通信工学論も今なら、少しずつ分かってきた。
 もちろん膨大なフュリー先生の資料のおかげだ。
 机上の空論ではなく。
 戦いの形が、そこにある。
「じゃあな」
 受話器を、置く。
 
 懐かしい光景が、頭の中に過ぎる。
『またお前か!子供自慢なら切るぞ!』
 がちゃん、と叩きつけられる受話器と。
『電話はお静かに』
 すかさず、少尉の一言が飛ぶ、懐かしい東方司令部の光景。
 
 ああ。
 そうか。
 この、苦しい戦いの始まりも。
 電話機の前だった。


 




こんな感じで、ひたすらハボのモノローグ。

ロイは全く出てこないけど、魂はハボロイです。




去年ハボが再登場してからずっと書きたかった
ハボックサイドのお話。

まだまだ力量不足ではありますが、
書けて満足です。


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