───出逢いは、最悪だった。
その黄金の髪と、紫紺の瞳を初めて目にしてから、約三十秒後。
そいつは、俺の腹に、思いっきり膝蹴りを喰らわせやがった。
(もちろん、きっちり、殴り返しはした)
それでも。
その最初の三十秒に、分かったことは随分沢山あった。
例えば。
そいつが、ちょいとそこらではお目にかかれないくらい、綺麗な顔をしていること、とか。
不機嫌なツラと。一々、腹の立つ言葉。
やけに様になってる法衣とS&Wの組み合わせ。
その挙げ句、「因果応報」ときたもんだ。
……気に入った。
『本当はやっぱり、地獄に堕ちることを望んでいたんです』
あいつが、そう言ったから。
ああ、こいつ死ぬんだな。
そう、思った。
『勝手に死なれちゃ迷惑なんだよ』
そいつが、そう言った時。
死なせたくない。
そう、気付かされた。
……気付かせてもらった、ともいう。
俺的には認めたくないけど。
『何を期待している?』
何も。
望んでなんかいない。
ずっと、そう思って生きてきた。
もう、ずっと昔。
たった一つだけ望んだのは、その人の笑顔。
... やわらかに波打つ髪。細く儚げな後ろ姿。
ほんの少しでいいから。
振り向いて。
笑って、欲しかった。
何も持たない自分の、たったそれだけの望みが、永久に絶たれたあの日から。
何も望まない。
何も期待しない。
そんな風に生きてきた。
気付かせたのが、三蔵だった───。
彼を、死なせたくない、という身勝手な想いにも。
彼を必要とするほどに、救われたい自分にも。
だから。
今度は、自分の意志で。
望んでみようか?
もっと。
そいつを
見ていたい、と。
……だって、さ。
その方が、ずっと、面白そうじゃん?
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