Tangent

・20・

 
 僕はとても利己的なので。

 いつか、そう言って笑った。

 二人で暮らした三年という時間は。
 たぶん、とても長くて。
 必要な時間。
  
 あまり、手に入らないものを、欲しがることってないんですよ。
 孤児院って、そういうところだったし。
 諦めることって。
 とても、当たり前だったから。
 でも、ね。
 だからこそ。
 手に入るもの、なら。
 そのために、どんな誹りを受けたって、平気だったし。
 手にしたものなら。
 どんなことをしたって、守り抜いてきたし。
  
 こーいうの、なんて言うんでしょうね。

 
  
 大切なもの、それでも。
 二人で過ごす時間は、とても平和で。
 穏やかで。
 優しかった。
 
 三年間。
 ずっと。
 側にいた。
 
 この想いを名付ける言葉なんて知らない。
 
 ただ。
 側にいた。
 それだけの、簡単な真実。
 
 時に、見えない傷は、また開くだろう。
 この瞳には見えないままに、真紅の血を溢れさせるだろう。
 
 だけど。
 この心がどんな闇に呼ばれても。 
 理不尽な感情に苛まれても。
 
 笑顔を、知っている。
 
 まだ。
 求めることを。
 知っている。
 

     

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