Tangent

・14・

 
 
 ゆっくりと、呼吸を整える。
 幾重にも包み込む繭のような気怠さの中で手を伸ばせば、見透かしていたかのように、無言のまま
口元にマルボロ一本差し出され、僅かに眉をしかめたけれど、そのままそれを咥えた。
 カチッとライターの音。
 二人分の煙草に火を付けて。
 
 そのまま二人、それぞれの煙の行方を追うように、違うところを見つめていた。
 
 深く吸い込めば、肺から広がる静かな充足感。
 たった今まで味わった、刹那に強烈な快感を遠いもののように宥めていく。
 うざい、と。 
 思わないわけじゃない。
  
 本気でS&Wの引き金を引いたことだって、数知れない。
 
 それでも。
 紅い髪と紅い瞳の十八禁指定有害生物は、今そこにあり。
 
 自分は、ここで他人の生温かい体温を知り続けている。
 ただ、それだけの。
 事実。

     

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