ゆっくりと、呼吸を整える。
幾重にも包み込む繭のような気怠さの中で手を伸ばせば、見透かしていたかのように、無言のまま
口元にマルボロ一本差し出され、僅かに眉をしかめたけれど、そのままそれを咥えた。
カチッとライターの音。
二人分の煙草に火を付けて。
そのまま二人、それぞれの煙の行方を追うように、違うところを見つめていた。
深く吸い込めば、肺から広がる静かな充足感。
たった今まで味わった、刹那に強烈な快感を遠いもののように宥めていく。
うざい、と。
思わないわけじゃない。
本気でS&Wの引き金を引いたことだって、数知れない。
それでも。
紅い髪と紅い瞳の十八禁指定有害生物は、今そこにあり。
自分は、ここで他人の生温かい体温を知り続けている。
ただ、それだけの。
事実。
|