いつだったか。
八戒が言った。
「うそですよね。あの人が短気だなんて」
「は?」
八戒の話、というのはたいがい唐突で。
俺は、たいてい、間抜けな顔で聞き返す羽目になるもんだった。
「三蔵です」
「……斬新な意見だな」
あの暴力たれ目の、どこが短気じゃないって?
あいつに三八口径、撃ち込まれそうになった回数を思わず数え上げそうになる。
俺としちゃあ至極常識的な判断を返したつもりだったが。
「だって。十年ですよ?あの人が、光明三蔵様の形見を追って。あの型破りな人が、
あんな大寺院に暮らして。とても気の長い、忍耐強いことですよね?」
八戒の言いたいことは、分かった気がした。
同意するかどうかは、また、別の話としても。
十年、か。
比べるつもりなんて、まるでなかったが。
頭の隅っこで、無意識に年を数えていた。
……たぶん。
十四年。
それぐらい。
だから、どうかって言われれば。
長くもなければ、短くもない。
ま、俺はどっかの生臭ボーズと違って、気は長え方だしよ?
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